−知って得する豆知識−
未分類〜筆の特質と手入れ〜
筆は、油絵用、水彩用、日本画用、デザイン用など様々な絵具別に分かれていますが、大まかに言えば毛質が硬いか柔らかいかに二分されます。
主に粘度が高い絵具には硬質、低い絵具には軟質の毛が適していますので、必然的に油絵画筆では硬いブタ毛、水彩画筆などでは柔らかい羊毛、イタチ毛などが多く使われています。
硬さ以外にも使われる毛によって、水分の含み、毛のまとまり、復元性、耐久性などにそれぞれの特徴があり、混毛によりさらにバリエーションをひろげることもあります。
最近では丈夫なナイロン筆も人気がありますが、まだまだ動物の毛に優るものとは思われません。
形もまた絵具の材質にかかわらず、丸筆(ラウンド型)か平筆(フラット型・フィルバート型・刷毛)に大別され、それぞれに多くのサイズが用意されています。
一般的に丸筆は先がきくので描きこみに、平筆は広い面積の塗りこみや筆の形を生かしたタッチを出すのに適しています。その他特殊な形状の筆は使用範囲は狭くなりますが、持っていると表現の幅がひろがります。必要に応じて買い足していくと良いでしょう。
各用途別に最も扱いやすい毛質や形、製法で作られていますので、使う絵具の材質によってそれぞれ専用の筆を使うのが基本です。
しかしながら、あくまで筆というのは道具です。多数使ってみてから、「どうしても自分のオリジナルの表現ではこの筆じゃないと!」と思ったときには、必ずしもカテゴリーにこだわる必要はないと思います。
実際油絵と水彩、日本画とデザインの間では多くの筆が共用されているのをみてもわかるように、筆はそれぞれの使用環境の中のニーズにより和、洋の良いところを採り入れつつ進化し続けているわけですから。
●主な毛の特質
- ■馬の毛 水含みが良く、毛のまとまりが良い。ほどほどの復元性がある。
- ■リス毛 水含みが良く、毛のまとまりが良い。軽妙な復元性があり毛の消耗度が低い。
- ■タヌキ毛 毛先が鋭く軽妙であり、復元性が高い。
- ■イタチ・テン毛 (セーブル) 筆毛材としてすべての要素をもっている。軽妙であり、適当な復元性に水の含みも良くかつ消耗度も極めて低い。
- ■ブタ毛 剛毛性のもので不透明画用として高い復元性をもつ。
- ■牛耳毛 セーブル材に近く復元性も高く理想材としてあげられます。
- ■山羊毛(羊毛) 水含みが抜群でまとまりが良く、毛の消耗度も低い。復元性も特色があり主材、副材となり筆の味を創り出す。
●筆の手入れ
基本は絵具が固まってしまう前にこまめにとにかく丁寧に洗うことです。水性絵具は水かぬるま湯で、その他のものはそれぞれの専用クリーナーで洗い流しましょう。
最も多いトラブルは筆の根元に絵具が残り、そこがガチガチに固まってしまうというもの。抜け毛や変形の原因になり、筆の寿命を短くしてしまいます。特に根元を丹念に指でやさしく揉みほぐすようにきれいにして下さい。
油絵画筆の場合はブラシクリーナーで洗浄後、石鹸と水で再度洗い、リンスあるいはブラシソフターにつけます。
水彩画筆や日本画筆は毛の適当な油分のバランスがくずれてしまうので水洗いだけで十分です。
洗浄後はよく乾燥させて風通しの良い場所に保管しましょう。濡れたまま長時間放置すると毛を束ねている糊が溶けて抜け毛の原因となったり、毛自体も傷んでしまうので注意しましょう。
購入時プラスチックのキャップが付いている筆もありますが、使い始めたらキャップは使用しないで下さい。